クロアシボソノボリリュウタケ(Helvella atra)
無理矢理覚えさせられることほど、この世に嫌なものはないと思う。そんなぼくは学生時代、興味のない学科に関しては「まったく記憶にございません。」と、斜め上の虚空を見上げながらきっぱり言い切れるくらい勉強しなかったし覚えなかった。そのかわり好きな学科に関しては学期末の試験前にまったく勉強しなくても100点に近い点数をとっていた。
この数ヶ月できのこの名前をずいぶん覚えたのだが、まったく無駄な努力などせず、何故かスラスラと脳細胞に記憶されてゆく。嫌々だったら絶対に覚えられないようなやけに長いきのこの名前でもまったくものともしない。そう、どうにかならなかったのかという、やけに長々しい名前を持つきのこも結構あるのだ。
というわけで、今回は「クロアシボソノボリリュウタケ」の話である。
ノボリリュウタケ科ノボリリュウタケ属のきのこで、学名を「Helvella atra」、漢字で書くと「黒脚細昇龍茸」である。漢字で書いてもやけに長い強者である。和名の「ノボリリュウタケ」の由来は不明であるが、学名にもなっている「Helvella」とはどうやらフィンランド語らしいので、そのあたりに由来を求めることが出来るのかもしれない。ちなみにHelvellaが日本語でどんな意味かが現時点ではわからないので、保留とする。一見してその形状からすると、カサが枯れてしまった老菌のきのこに見えなくもないが、れっきとした固有の形をもつ種類のきのこである。
それにしても名前が長すぎやしないかと思う。おそらく誰もがそう感じていたらしく、現在では「クロアシボソノボリリュウタケ」の「タケ」をとって「クロアシボソノボリリュウ」という名称に変更されているらしいのだが、それでも長いわ。そして「タケ」をとってしまったら、もうきのこなのか何なのか。もはやファンタジー系のPRGに出てくる「ノボリリュウ」というモンスターの亜種みたいなことになってしまっている。
まあ、ともかく、今のぼくはそんな長くてややこしいきのこの名前をおぼえることも朝めし前なのである。
たとえ朝めしがきのこの炊き込みご飯だったとしても、朝めし前さ。
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