雀荘という仕事はクソだからお前らは絶対にメンバーにならない方がいい
終末禁忌金庫
第1話 月収20000円
20000——これはなにを表す数字だろうか。
これは、とある月の僕の給料である。
高校生のアルバイトかな? と思った方もいるだろう。
夕方の6時~9時までのシフトで、週2日ペースなら、だいたいこんなところだろう。850×3×8=20400。まぁ、妥当なところである。
ではひとつ、その月の僕のシフト日数をご覧いただこう。
週5日の出勤である。すなわち、
X×Y×20=20000
ここにおけるXは時給。Yは平均労働時間である。
ここで、僕の平均労働時間を紹介しておく。日によってまちまちだが、だいたい10時間程度であろうか。
それじゃ、Yに10を代入。すると、
X×10×20=20000
さて、Xはいくらか。中学生にもできる簡単な方程式である。
答えは
X=100
僕の時給は100円であった。
そんな訳あるか! どの都道府県においても、最低賃金は650円を上回っている! お説ごもっとも。が、悲しいけれど、これが現実なのよね。
週5出勤で、平均10時間働いて、月の給料が20000円。悲しすぎて、もはや涙も出てこない。20000円なんて、携帯代を支払って、1日2食食べるだけで足が出る。馬鹿にするのもたいがいにしろ。
もう一度いうが、これが現実なのよね。
さて、ではこのようなクソ低賃金でこき使われる仕事とはなんであろうか。タイトルにもしているから、あまりもったいぶることでもないので、あっさり明かしてしまうと、雀荘のメンバーである。
きっとこれを読んでくれている方々は、少なくとも麻雀というものについて多少の知識はあるだろうけれど、「雀荘」についてはよく知らないという人もいるだろうから、おおざっぱに説明しておくと、
雀荘とは、主に全自動麻雀卓を貸し出すことでサービスを供し、利益を得る店舗で、その業務は大きく分けて2種類ある。
ひとつはセット。これは麻雀を打てる友達を4人集めて雀荘へ来た人たちに、1時間1000円とかで卓を貸し付ける業務。1時間あたり1000円の売り上げである。2組いれば2000円毎時。3組なら3000円毎時。こっちをしたことのある人はきっと多いだろう。
もうひとつはフリー。これはおひとりさま向けのサービスである。麻雀を打ちたいけれど友達が集まらなかった、どうしよう、というお客さんに対して、「麻雀を打てる場」を用意するのである。つまり、卓と客の両方を用意する訳だ。
お他愛の素性を知らぬ者同士が卓を囲む。ちょっと緊張するが普段とは違う雰囲気が楽しめて面白い。——そんな目的だけで麻雀を打つ人間がいるだろうか。
むろん、麻雀は知的遊戯として優れている。頭も使うし指先も動かすから、脳の活性化に良いとも言われている。
が、博打という側面のあることも誰もが知る通りであろう。
そう、金である。金を賭けるのである。賭博行為は違法だ! お説ごもっとも。けれど、仲間内で集まって麻雀をする時にも、少額なれど、お金をかける方々も少なくないだろう。
が、このフリー業務というのがトンデモない闇なのだ。
何がどう闇なのか、次の話以降で少し詳しく解説していきたいと思う。
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