カクヨム廃人
よろしくま・ぺこり
第1話 カクヨムを見つける
おいらは精神病を四年前に発症した。本当は精神病じゃなくて脳の器質異常なんだけど、一般人から見たら区別はつかないな。詳しいことは拙著『狂気の夏』を読んでほしい。いや、お願いだから読んでください。エッセイ・実話・実用コンテストに応募しているんだけど、全然読まれやしない。だから助けると思って読んでよ。いや、待てよ。この駄文が読まれなければ、宣伝効果は0だな。
まあ、詳しいことは『狂気の夏』を読んでもらうことにして、おいらとカクヨムの出会いについて話そう。
その頃、おいらの趣味というか、できることといえば、読書と文章を書くことぐらいだった。もちろん精神が落ち着いているか、テンションちょっと高めの時だけだけどな。鬱の時には何にもできない。寝ているだけだ。でも気分が上がると、なんか小説を読みたくなるし、書きたくもなる。おいらはこの四年間に『軌跡』『恩州任侠伝』『平帆太郎伝』の三作を執筆し、『軌跡』を『小説すばる新人賞』に、『平帆太郎伝』(応募時のタイトルは源平光芒記)を『角川春樹小説賞』に応募した。『恩州任侠伝』は出来が悪かったのでどこにも応募しなかった。この三作はカクヨムで公開しているから、おヒマなら読んでください。後悔はさせませんとは言いづらいが。
応募した二作はいずれも予選敗退。箸にも棒にもかからなかった。自分では面白いと思ったんだけどな。独りよがりだったのかねえ。
そんな落ち込んだ気分の時、インターネットで見つけたのさ、カクヨムを。小説投稿サイトというものがあることは知っていた。はっきり言えば『小説家になろう』だ。だが、それのトップページを見て、一気に参加する意欲を失った。トップテンに入っている小説が、ほとんど異世界物とかのライトノベルだったからだ。自慢じゃないが、おいらライトノベルなんて読んだことはない。この先もたぶん読まないだろう。ただ『涼宮ハルヒ』には興味がある。金に余裕ができたら読むかもしれない。
それはさて置き、カクヨムのホームページを見て、最初に思ったことは「いちいち紙に印刷しなくてもいい」ってことだ。十万字以上の小説を印字するには紙とインクをかなり消費する。貧乏なおいらにはかなりの負担だ。それがないんだからプライスレスだ。それに、初めから小説を公開できるのだから多くの人に読んでもらえる。こんな一石二鳥の話はない。おいらは一も二もなくユーザー登録したね。これでおいらもベストセラー作家の仲間入りだ。お気楽なというか馬鹿なおいらはそう思い込んでしまった。早速、上記の三作と事実上の処女作『道楽』をコピー&ペーストして、とっとと公開してしまった。ただ『道楽』は七万字しかなかったので大幅に加筆した。でもまだ一月中である。これがWeb小説の作法と違っていたことに気がついたのはカクヨムスタートしてからだった。ちょびっとずつ公開して読者の渇望感をあおるのが常套手段だったのだ。Web小説初心者のおいらには考えもしないことだった。
四作投稿したからそれでよかったのに、おいらは新作を書くことにした。まだ二月になっていない頃だ。時間はたっぷりある。おいらは前々から温めていた『ノンフィクションライター綱渡通のフィクション』を上梓した。そこでやめとけばよかったのに、おいらは無謀にもミステリーを書こうとした。しかし、新鮮なトリックなんか浮かびはしない。でもおいらはミステリーをたくさん読んでいた。「要するに、読者をびっくりさせればいいんだろう」と叙述トリックと乱歩の少年もの並みの変装を駆使して、強引に一作完成させた。『探偵家業』だ。この作品がいかにいい加減なものかは、カクヨムで確認してほしい。パソコン、タブレット、スマホを投げ出したくなるはずだ。
そこでやめとけばよかった。だが時は二月頭。おいらは「もう一作、かけるんやないか?」と思い、何のアイデアもないところから、強引に一作書き上げた。完成したのは二月二十九日早朝。徹夜して書き上げたのだ。タイトルは『兄貴。』BLじゃあないよ。でもこのタイトルでは勘違いされたかな?
そして、その日の十一時過ぎ、カクヨムがオープンするのである。
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