栞紐

夜の読書はなんだか 読んでいないような気がするけど


流れていく物語の途中で終止符を打って


何ページ目だか覚えてないけど


どこから読めばいいかわかるよ栞を挟んだ


きちんと上引っ張って 根本で区切ってね 


私を雑にしまわないで ぐにゃぐにゃにしないで


言葉の速度は初めは遅く立ち止まってしまうけど


夜を読む度に跳べる


箱にしまう 文字だんごの尾は短く


背中には誇りを毛だち欲しがっている


区切りは旅の終わりと始まりに迷う


夜が来ると顔を見せてくれる


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あの日から夜は暇を失った


原因の所在は鏡に申し付けて欲しいです


開き直りが始まった どうせ面白くない


旅の続きをするより こっちにおいで


気にしないふりして 気にするふりをしても


手を伸ばさないでね 切り開かないでね


家にいなさいとか空が言った時だった


物語の続きを始めよう


指で謎る 揺らぐ言葉の毛を


あの栞紐は 赤く柔らかく


語りべが歌い出せるように


顔を開かせた 尾を引っ張って 顔を上げて


旅は続く 言葉の速度は駆け抜ける


目的地まで 終わり道まで 


文字の塊が心に溶けていくから


雨は続く夜と終わりまで

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