花火セット


涙落ちゆく線香花火は 雑音のきらめきへと煮えず


草の根に隠れる一級河川 夜の区別はつかなかった


僕が考えた一番嫌いな花火大会はバッタに群がる蟻たちで


僕が考えた一番好きな花火大会が今日の夜、サーカスになる


知もしらない我が年下たちがはしゃいでは 音のない火薬を振り回す


遠目で見るのも好きだけど 近くで楽しむのも馬鹿になる


朝よ、おはようと言わないで 太陽はあるからそれ以上いりません


そして、敗北感を覚えた僕は おじさんという気持ちを覚えた


楽しもう 後片付けは僕がやるから


名もない花火に 名も知らない人 少ないからいいのだろう


やさしい笑みってこうするんだ

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