ラヴァリア・ジャーナル

明夢

スライム素材からエーテル水精製 スライム生態の解明にも期待

特定の条件下で成長させたスライムの体組織をもとに高純度のエーテル水を精製するという研究が発表された。研究を行ったのは生物学者のノルグ・リュートス氏。学会の定例発表会で研究の成果を披露した。

スライムといえば一般市民にもなじみの深いモンスターの代表格であり、流動するその体組織は毒性や強酸性を持つことで知られている。一般にスライムが素材として利用されることは稀であるが、今回発表された研究ではエーテル水の精製方法が示された。

ノルグ氏は汚染されていない水の中で成長したスライムが毒性を持たないことを発見。その体組織を一部切り取って精製したところ、ほぼ純粋なエーテル水が出来上がった。スライムから精製されたエーテル水には特に副作用はなく、魔法薬調合への使用も可能だという。

発表会では研究成果のエーテル水を使って作られたポーションが配られ、渡された研究者たちは少し嫌そうな素振りを見せながらもポーションを飲み干していた。

モンスターの生態研究を専門とするノルグ氏は「スライムの毒性の強さが生息地近辺の水質によって変化することは冒険者や学者の間では知られているが、澄んだ水のある地域ではスライムの姿がほとんど確認されないことが疑問だった」という。研究に際してはギルド経由で比較的小型のスライム捕獲を依頼。捕獲されたスライムを汚染されていない水の中で成長させたところスライムは毒性を持たなかった。ノルグ氏はこの結果に対し「スライムは精霊の成り損ないという説があるが、これはその裏付けの1つに十分なりうる」との見解を示した。

専門外のエーテルの精製を行った事については「単純な思いつきだったが、スライムの素材には魔力が含まれるため、このスライムを使えばエーテル水を作れるかもしれないと思った。今回の研究成果が魔法薬学分野での発展につながると嬉しい」と語った。

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