螺旋状のカルマ

神田 稔

第1話バディゴア戦争

アリウダレス5世が即位した年。つまり1169年のことになるが、この年に全世界を揺るがす大事件が起きた。


バディゴア聖戦のことである。バディゴアは元々エリアス共和国最南部にある、ユーロニア王国との国境線にあるとても美しい街であった。


大自然に溢れ、街ゆく人々も活気付き、人口約100万人(エリアス共和国の全人口が約3億人と言われている)の非常に豊かな街であったのにも関わらず滅亡した。


原因はバディゴアで違法薬物となる「ハイドラ」が作られ、その薬物をユーロニア王国に密輸していたからだと言われている。

双方はこれを否定。17回にも及ぶ検証、会談も徒労に終わりバディゴアの原住民のゲリラ部隊とユーロニア王国義勇軍との途方もない戦争が勃発したのである。


エリアス共和国の圧倒的戦力と物資にゲリラ部隊と義勇軍では太刀打ちできず、翌年1170年には両軍隊を鎮圧し美しい街バディゴアは滅んだ。

戦場跡地は廃墟となり、原住民の大半はユーロニア王国に亡命したと言われている。あの美しい街バディゴアも今なっては<失われた都>と呼ばれている。


バディゴア聖戦の後、世界5大大国間での緊張感が高まっている。世界大戦へのXデイは3年後だとか10年後だとかはたまた起こりえないだとか様々な議論が取り立たされる中、戦後からおよそ10年まだ大きな戦争は起こっていない。

-エリアス共和国認定 歴史教科書-

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螺旋状のカルマ 神田 稔 @k_m103

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