戦う茶道部!
星見 空河
1:『孤島 I』
『僚介、そっちに撃ち漏らし三体接近中。』
『了解。』
向こうの時刻は6時を回った頃だろうか、と高野僚介は先ほど常時通話にしてある無線で言われた事とは別の事を考える。
最新無線通信ガジェットのテストと称して我々茶道部員全員に支給されたゴーグルと一体型のそれは、最近流行りのウェアラブル端末の進化してるのか、退化してるのかよく分からないような代物である。
ゴーグル全面の画像投影が可能で、あまり当てにするなと言われているが弾が飛ぶ方向まで分かり、しかも軽い。
しかしこんな無骨なデザインの物を向こうで身につけでもすれば、怪しまれる事受け合いである。そして─これが最も重要かもしれないが─これに投影されている敵の位置情報、残弾数(誤差が多い)、先ほど言ったカーソル...と、まるでFPSゲームをプレイしているかのような錯覚に陥ることが少なくない。
『そいつら倒したら今日のノルマ終了なんだから、さっさと殺っちゃってよ。そっからなら弾は確実に当てられるでしょ?』
僚介は思考を強制中断させられた事に少し苛立ちを感じながら、サブマシンガンのP90を構える。そして先ほどからゆっくりとした動きでこちらに近づいていた奴らの頭に照準を合わせた。
ぱららっ、ぱららっ、ぱららっ、と指切りバーストで弾薬を節約しながら、その三体をだだの肉塊にした。
『はいお疲れ様。ポイントBの5でピックアップするから先輩と一緒に移動して。あと、そっちはもう雨降らないみたい。』
『了解。』
最初は嫌で仕方がなかった銃声も、硝煙の匂いも、銃の反動も、もう慣れてしまいそうだった。
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