私は、北海道の室蘭市で生まれ育ちました。都会とは言えませんが、鉄鋼業が盛んで、工業夜景と、綺麗な海が自慢の街です。

 一人っ子で、大人に囲まれて育ったせいか、私は周りの子どもよりも「少し風変わりな子」と、よく言われてきました。

 

 幼少期の私は、かなり大人しい子で、口数はあまり多くはありませんでした。

 その為、周りの子ども達と仲良くなるのにすごく時間のかかる子で、近所の子ども達が大勢集まる公園に行っても、砂場の端っこで、ずーっと山を作って遊んでいるような子どもでした。

 そんな私の性格について、母はいつも「どうしてアンタはそうなの!?そんなんじゃ、一生ひとりぼっちだよ!」、「どうしてもっと明るくできないの!?」と、怒りました。


 私は、幼稚園入園を機に、母の言うような「明るく活発な子ども」を演じ始めました。

 しかし、ボロはすぐに出て、本当に活発な子からいじめられたり、先生から不本意なことで注意されるようになりました。


 この頃のことで、なんとなく覚えている記憶があります。

 私は辛くて、母にいじめられている事を告白しました。すると母は、「言い返さないアンタが悪い。それくらいの事、大したことじゃない。」と言い、「そんな事より、この前の参観日の時に、アンタの事で先生から注意を受けた。どうして言う通りにできないの?私、恥ずかしかったんだから。いじめも、アンタがそんなんだからやられるんだよ!」と、いじめられている事を慰めてくれるどころか、私が悪いと責めました。


 確かに、何か嫌なことを言われて、言い返せない私も悪いのかもしれません。

 けれど、この時の私が欲しかったのは「こうするべき」という意見では無く、「辛かったね」という共感だったのです。簡単な、ただそれだけのことだったのです。


 幼稚園での生活の中で私は、「明るく活発な子ども」にプラスして、「気の強い、ハキハキした子ども」も演じるようになりました。

 そして、そんな自分を演じたまま、私は大人になっていきました。

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