第13話 躾

最近の風鈴はことあるごとに私の身体を噛む。

横になって休んでいれば顔を噛み、立って何かをしていれば足の指を噛む。

遊び足りないのか、とおもちゃを見せても、すぐ私のもとへ帰ってきてしまう。


こうなれば、躾も必要かと一大奮起し、インターネットで「猫 噛む しつけ」で検索を開始した。


基本的には褒めて育てるのが、信頼関係も築きやすいし、猫にとっては覚えやすいと書いてあるが、何かいいことをして褒められ、気分が高揚すると噛みついてくる傾向のある風鈴には適さない。


手を叩いて音を出すのもいい、と書いているところもあるが、そのうちハンドクラップでは動じないほど、図太くなってしまった。


あとは、噛まれたときに手を引かずに逆に押してやるといい、と書いているところもあったが、逆に喜ばせてしまい、余計に噛まれてしまった。


風鈴に対し、一番効果のあったことは、ドライヤーの音を聞かせることだった。噛んできた瞬間にドライヤーの音を鳴らすと、ぴたっと動きが止まり、音の方を見る。同じ理由で掃除機の音もどうやら苦手なようだ。


あまり驚かせるのも可哀想だから、私の身の危険と風鈴の身の危険を守る時だけ使おうと思う。




ちなみに、ある質問サイトでは、猫が噛んだときに同じく嚙みつき返してしつける、と書いている猛者が何人もいた。

猫同士のしつけ方法がそうだとは言え、さすがに猫主人1年生の私は噛み返す事はできなかった。

いたしかたなし。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る