第8話 櫛
入浴も二回目ともなると、初回より怖がる様子もなく、落ち着いて体を洗わせてくれるようになった。
洗っても洗ってもノミが出てくるような気がして、とうとうノミ取り櫛なるものを購入した。
はじめは風鈴も嫌がって逃げようとするが、体を抱えて櫛で梳かしてやると、驚くほどに取れる。
ケースつきの櫛を買ったのだが、あれよあれよと2,30匹はいるんじゃないかと思う勢いで取れてくる。
私自身、体が丈夫なのか、ノミに対する被害はこれといって実感はしていないのだが、さすがに大量のノミと一緒に生活していたのかと思うと、ノミに血を吸われてなくても血の気が引けた。
あらかた全身を梳かし、あとはノミ退治するだけなのだが、風鈴の血を多量に吸ったのか、石鹸水は赤く濁り、風鈴の辛さが目に見えて伺えた。
しかし、当の風鈴は、気にもせず、カーテンという半分形のない敵とキャットファイトしており、特攻しては網戸に顔をぶつける動作を繰り返している。
網戸に穴があく前に、カーテンの向こうには何もないということに気づいてほしいと思うのだった。
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