第6話 留守番

今、私は風鈴にこれまでで類を見ないほどの抗議を受けている。


大好きなおもちゃに目もくれず、そっぽを向いては私の顔面の近くで「にゃー」と小さく鳴く。

「ゴロゴロ」と喉は鳴らし、撫でさせてはくれるが、いつものようにお腹を見せてはくれない。



どうしてこういったことになっているのか、というと、仕事で夜に家を外してしまい、朝に帰宅したものの、外での用事が立て込んでおりあまり構えずに長時間あけてしまったのだ。


ケージの中に置いていた爪とぎも100度くらい斜め上方向に行っており、荒れ果てた様子から、強いストレスを与えてしまったことを反省した。


いつもより機嫌が悪い様子で、目も心なしかいつもより鋭い。


今日ばかりは、猫缶もソファーで爪とぎをするのも許そう。

私の肩に乗り、服や顔を舐め回すのも許そう。


だけど、寝ている私の首元で毛づくろいをするのは、さすがに苦しいので、もう少ししたら場所を変えてほしい。

お尻の臭いが微妙に香るのだ。


風鈴に怒られないよう、今後重々注意しようと強く誓ったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る