第5話 膝枕腹枕
仕事の名残で朝早く起床し、部屋と猫トイレのゴミ捨てを終わらせる頃には、風鈴は「にゃー、にゃー」と訴えかけてきた。
我が家では、仕事で風鈴を一人にしてしまう時間がある以上、どうしても安全のためのケージにいれているのだが、彼女は閉じ込められるのをとても嫌う。
それでも最近は夜にケージに入れられても、私の姿が見えなければ鳴かなくなったし、人間にとってはとても優等生だ。
今日は休日ということもあり、朝早くからケージを開けてやり、キャットフードも補充をしたわけだが、ご飯よりもなによりおもちゃに目掛けて、外に飛び出した。
一人遊びに下手に手をだすと、手痛い反撃を受けることは初日に経験していたため、夢中になっているときは風鈴が見える範囲内で家事などの自分のことをするようにしている。
1時間ほど遊びつくした頃、部屋中を巡回し、頭をこすりつけて歩く。ここまで彼女の日課のルートだ。
しかし、今日はここ最近と違って飼い主である私がいる。
日課を終わらせたあとは、私の足下をゴロゴロとくっつき始め、膝に乗ってこようとする。
撫でていると徐々に眠そうな顔になったため、ケージに戻してやるとまた膝に乗ってくる。
まぁいいか、と諦め膝の上というか、お腹を貸しているわけだが、早朝からの大運動会ですっかり疲れたのか、ぐっすりと眠ってしまった。
肉球を触っても起きないし、だらんと腹部を見せて眠っているわけだが、どこに野生の本能を忘れてしまったのかと思うほどには無防備だ。
そうしてソファから身動きが取れなくなった私の、休日にやろうと思っていたアレやコレは、次々と先送りされるのだった。
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