第2話 距離感

2日目。私も風鈴も昨日までの緊張もほぐれつつあった。


朝は目覚まし時計と風鈴の鳴き声で目覚め、懇願するように「にゃー、にゃー」と見つめられ、誘惑に負けてしまった。


まだ猫語が理解できない私は、とりあえず食事の補充と水の取り替えをしてやった。


しかし、風鈴は鳴きやまない。

どうしたものかと頭を抱えていると、膝の上に乗ってきては毛づくろいを始めた。不慣れな手つきでそのまま撫でてやると、目を閉じ気持ちよさそうにこてんと丸くなった。



仕事に行くのが、いつもより遅くなってしまった。





帰ってくるとうとうととした様子で毛布に包まれていた。


起こしてしまわぬようにゆっくりと鞄を置き、視線をやると風鈴と目があった。小さい声で「にゃ」と鳴き、おとなしく私の腕に抱かれた。


しばらく抱かれていると、徐々に覚醒し、私の右から左からと行ったり来たりとせわしなく走り始めた。

遠目に見守っていると、呼んでいるつもりなのか、私を見て「にゃーお」と鳴く。


後をついていくと足下にまとわりついては顔を擦り寄せてくる。


優しく撫でてあげると目を細めて伸びをする。


そうして今日も夜は更けていった。




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