第14話 幻想アクアリウム


 窓から見下ろした街がにじんで見えた


 目の前を何かが通り過ぎていく

 それは 夜の水槽を泳ぐ魚たち


 ぼんやりと浮かび上がる空間で

 半透明のカラダが青白い光を放つ


 「何も考えないで同じことばかりしてるのね」

 「狭い空間をぐるぐる回って楽しいの?」


 ボクの口から漏れた言葉たち

 それは 誰に向けられたものだろう


 冷たくなったシーツを素肌にまと

 ダブルのベッドにひとり腰掛けながら

 いつまでも 窓の外の水族館アクアリウムを眺めていた


 「水槽の中にいるのはボクの方じゃないか?」

 そう思いながら



 RAY



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る