第11話 染まって 色褪せて


男の中には

自分が好きになったひとのことを

「自分の色に染めてみたい」なんて願望があるの?


それは

真っ白なスケッチブックに

自分の好きな色で水彩画を描くようなカンジ?


それとも

粘土で作った器をかまの中に入れて

焼き上がるのをじっと待つカンジ?


女には

染まっていく自分のことを眺めている

もうひとりの自分がいるの


彼女は

好きなひとの色に変わっていく自分を 

まるで映画のワンシーンを見るみたいに楽しんでいる


でも

ふたりが他人になっても

染まった色はなかなか消えない


えっ?

黒色のペンキで上塗りする?


ダメ!

心のスケッチブックが傷ついちゃう


そんなとき

過去の染め上げを生かした

ステキなデザインを考えて欲しい


そうすれば

過去の色は少しずつ薄れていく


それは

小さいとき描いた水彩画みたいなもの


それは

幸せと引き換えに思い出に変わっていくもの


染まって そして 色 せて



RAY



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