第12話

「冒険者友の会の登録をお願いします」


「もう書き疲れた」


「なんでこんなに窓口が別れてるのよっ!」


「すみません、担当が違うもので。加入しますか」


 はい

>いいえ


「こちらの会員になられると様々なお店で割引サービスが受けられます。加入しますか」


 はい

>いいえ


「すみません、もう一度お願いします」


 はい

>いいえ


「えーっ」


>はい

 いいえ


「ご加入ありがとうございます」


 満面の笑みを浮かべる係員。交通安全協会のことを思い出した筆者であった。


「さっさと次へ行くですっ!」


 司祭はさっさと記入、支払いを済ませて次の窓口へ移動する。


「こちらではパーティー・メンバーの紹介を行っております」


「やっと」


「ここまできた、ですぅ」


 落涙寸前の勇者たち。新たなる出会いはすぐそこだ!


「どのような方をお探しですか?」


「宇宙人、未来人、超能力者っ!」


「いません」


「空を飛ばない喋るバイクに乗ったガン少女っ!」


「そういう方は登録がないようですね」


「ギターケースを背負った槍使いの少女っ!」


 モノを持っている、という特徴は説明しやすい。


「そういう方もいないですね」


「棺桶を引きずった女の子っ!」


「あっ、いますね」


●●●●じしゅきせいいるのかよっ!」


「それより傭兵の姉弟のほうが有能では?」


「あっ、ちょうど来ましたよ」


 係員に促され二人が振り返ると、確かに棺を引きずりながら歩く真っ白な少女がいた。体中に切り傷が刻まれ、今にも倒れそうだ。


「ボクと契約して仲間になってよ」


 そう言って、棺の少女は崩れ落ちた。


「よくよく考えれば」


「魅力的な冒険者ならわざわざこんなところに登録せずとも、噂を聞きつけた仲間志望者が自ら寄ってくるっ」


「ハロワじゃいい仕事なしか」


「ですっ」

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