第2話

「って、王女、なんでウチにいるのよ! 住居不法侵入罪で訴えるわよ!!」


「妾が法律」


「って、あんたの親父を頭ごなしにしていいの?」


「妾は今日らこの国の王になったのじゃ」


 勝ち誇ったように頭の王冠を指差す、元・王女。初夏なのに、紫色の毛皮のマントをあえて纏っていた。


「親父……先王が『若いピチピチが出るほうがええじゃろ、お客様は神様じゃからのう』と口走って王位を禅譲なされたのじゃ」


 お客様って誰だよ? 封建主義じゃないのか??


「うずめたいでしょ、勇者なのじゃから」


 そう言うと、新・女王は自分の胸に手をやり、下から持ち上げる仕草を始めた。


 ぱふぱ……


「断るっ!」


 ちょっと、まて。今、アニメ化したら最高にオイシイ映像が流れるところをスルーしたよな。いくら勇者だからって、プロデューサーの圧力にはくぁせっ……。


「それにしても、どこかで見たことがないか、この話?」


「水道哲学じゃ」


「スタディ・ラノベの出版社かよ!」


「それなら妹モノになっているのじゃ。兄以外が主人公という時点でオリジナリティは満点、なのじゃ」


「どう考えたって、問題ありでしょ」


「中二病でもなければ、召喚バトルもない

 ……しからば、問題ないのじゃ」


「大ありよ! 元ネタがどんどん分かりにくくなっているじゃない!」


「ぜったい大丈夫だよっ! ……わからねば検索、ポチッとな」


 ただし、この世界にケータイもネットもないのでご了承ください。アニメすらないけどな!


「もういいわ。二度寝よ、二度寝――」


 勇者は布団を頭までかぶると、寝息を立て始める。

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