リンド・リンド・ロンド

紅亜真探

第1話 彼女との出会い



「最近なにか夢を見た?」


 見たよ。


「どんな?」


 龍の形をした黒い雲に乗って、空を飛ぶんだ。


「あらすてき、じゃあそれをもらうわね」


 そう言って女の子は、 ぼくの唇に軽くキスをした。

 ひゅっと、おかしな音がして、なにかが、のどの奥から飛び出していったようだ。


「ほら、ごらんなさい」


 薄曇りの空と地面の間にいたのは、水に落としたインクみたいな、もやもやとした雲だった。

 これが龍かとみんなは笑うかもしれないが、確かにぼくは、これを今日、龍だと思って乗りまわしていたのだ。

 そう、夢の中で。


「じゃあね」


 言った女の子は、もうそれの首にまたがっていた。

 黒いドレスがひらひらひらひら。龍のリボンみたいになっていた。

 

 待って!

 きみの名前は?


「あたし? ロザリンド」

 

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