性欲が逆転したセカイ
ちびまるフォイ
第1話 男の性欲 ⇔ 女の性欲
努力次第ではタイムマシンのできちゃいそうな研究所。
薄暗く小汚いその部屋の奥で、
鼻の下を伸ばしまくったひとりの研究者は大きく声を上げた。
「完成だ! ついに完成したぞ!!」
感動のおたけびを胸いっぱいに叫び、
緊張の面持ちでスイッチへと手を伸ばした。
その瞬間、ふいに扉が開かれた。
「おい、A笠博士!! 話があるんだけど!!」
「ふぉぉ!?」
ふいをつかれた博士は伸ばしたスイッチがそれる。
ちょうどその隣にあったスイッチを押してしまった。
「ああああああ!!」
「えっ!? なに!? なにしたの!?」
「おまっ……何してくれとんじゃこらーー!」
A笠博士は必死過ぎる顔で、
昔なじみの少年の肩をぐわんぐわんと揺さぶる。
「お前がびっくりさせるから、違うスイッチ押しちゃったじゃないか!
どうしてくれるっ! どうしてくれるっ!」
「ま、待てって! いったい何のスイッチを押したんだよ!?」
「男女の性欲を逆転させる装置じゃ!」
「なんでそんなの開発してるの!?」
A笠博士は、悩みを顔いっぱいに張り付けて座り込んだ。
「……すべては10年前に遡るのじゃ」
「博士、その話長くなる?」
「妻に逃げられたワシは心に決めたのじゃ、
男女の考えというのはつねづね相いれないものじゃと」
・
・
(中略)
・
・
「……ということじゃ」
「いや、結局その意味わかんない装置が
どうして必要になったのかがいっこもわからないんだけど」
「とにかく! 今、世界の性的な観点はすべて逆転したのじゃ!」
「乱暴! 展開が乱暴すぎるよっ!」
トンデモ展開に巻き込まれた少年は思わずツッコミを入れてしまう。
ただ、まだこのときは事態の重大さを理解できていなかった。
「A笠博士、それじゃ一体どうすれば元にもどるの?
一応俺にも責任の一端はあるわけだしさ。
なにか協力できることがあれば、手伝うよ」
「……性欲じゃ」
「は?」
「装置を治すためには、女子の性欲を集めるのじゃ!!」
「どういうことだよぉ!!」
少年は展開についていきかけた少年は、
ふたたび突き放されて路頭に放り出された。
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