アクション、シューティング、ロボット、RPG、パズル──果てはギャルゲーに至るまで、様々なゲームの主人公たちが様々な思惑を持って一つの世界に集められ、そして殺し合うというのがこの話のおおまかな内容である。
緻密に織り込まれた伏線と各ゲームごとの固有能力、一つの作品として完成されうるほどに立ったキャラクタ、そして各々が持つ狂気ともとれる願いが絡まりあった激闘はもちろんのこと、何より素晴らしいのは読後感だ。
彼らは幻想の世界の住人ではあるが、それでも自らに課せられた幻想を『引いて』、その先の現実へと何かを失ったり得たりしながら歩き続ける。
それはこの世界に生きる私たちにとって、なにかとても尊いことを教えてくれているようにも見える。