サヨナラからはじまる物語

第1章 サヨナラからはじまる物語

~僕は今日旅立ちます。~

僕はさよならの決意を胸に

彼女を呼び出した。

せっかく流れに流れに

たどりついたこの土地だけど

僕の意志は固かった、、、

旅立ちの朝

彼女と別れの朝だ

あぁ1歩1歩踏み出す

足どりは鉛の様に重い

待ち合わせの駅に着くと

優しく降り出した雪が

最後を告げているようだ

彼女「わっ!!!!」

僕「コラコラ」

いつもの感じでジャれてくる

なんて愛おしいのだろう

僕が独り占めしてきた

この笑顔を今曇らせる、、、

彼女「話ってなに?」

僕「今日この街を出るんだ」

軽くサラリと言い放った僕に

バチン!!!

覚悟していた平手打ちが

飛んで来た


彼女「バカ-!!」

次の瞬間バサッ腕の中に

愛おしいぬくもりと

涙を感じた


彼女「知ってたよ、、、

でも言えなかった、、、

聴けなかった、、、

意気地無しだね私

家族の事があるからだよね

私も同じだから

わかるんだ

あなたは優しくて

責任感があるけど

苦しみを全部

持っていっちゃうから

そこが憎いそして愛おしいの

何も言わずもう

準備も出来てる顔してるよ

なんて腹の立つ人

もうこっちから別れて

やるんだから」


涙声の彼女は、顔をあげた


彼女「こんないいオンナすてる

なんて一生後悔すればいいんだ」

彼女の細腕は僕を突き放す

むちゃくちゃ言ってる

そんな仕草も身体全体で

語りかけてくる言葉も

すべてが愛おしい


僕「あぁそのとおりだよ

一生後悔するんだ」


彼女「バカバカバカ、、、」


次の瞬間、彼女が僕に飛びつく

唇が覚えてるあのぬくもりが

身体の中を駆け抜けそして

そっと唇がはなれる


彼女「これでおわかれ

こんないいおんなの

彼氏していたんだ

きっと

いいおんなつかまえられる

私はあなたより幸せに

なってみせつけてやるんだ」


あぁぬくもりをかみしめて

これが最後と忘れる為に、、、


でも現実に連れ戻される


重なった手と手、心と心離れていく

最後の一瞬まで噛み締めるように


強がる彼女は改札前で

優しく手を振る


ぼくは何度も振り向き手を振る


もう彼女は見えない

終わってしまった


自然と頰をつたう涙はとまらなかった


そして僕の物語ははじまった

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サヨナラからはじまる物語 @Oborodukiya

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