百年の孤独

標高2000mのガソリンスタンドで給油しながら、ロドリゲス卿は10年前の事を思い出していた。


そのとしのこの日、同じ場所で、彼は伝説のカタツムリを狩るために20人のシェルパを率いて、この山に挑んだのだった。


事の初めは20年前にさかのぼる。彼は海鮮物輸入代行業者をしながら、大学で学んだチョモランマ地質学を生かせる転職先を探していた。


というのも、30年前、彼は大学で助手をしていたが、セクハラ事件を起こしたせいで、学会から追放されたのである。


なぜなら40年前、学生時代に全てをアメフトに捧げてしまったので、孤独な青春の欲望の捌け口を見つけられなかったのだ。


だから50年前、バカロレアに合格したとき、今思えばこの時既に彼の目の色はおかしかったようにも思える。


そもそも60年前、彼は盗んだバイクで走り出し、補導されている。


では70年前、酒とドラッグに溺れた彼に神の道を説いた尼僧クリスティーナは、彼を真に更生させることができなかったのだろうか?


答えは80年前、生まれて30分で立ち上がった彼は、元々人間ではない可能性があったのだ、としか言えない。


だから90年前、宇宙を駆け巡る星のひと雫だったときの彼は、ただ、地球の青さに幻惑された、いわば被害者だったのだろう。


そんな彼も100年前までは、少女だった。


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