第1114話「イリス・イーサ、呪縛から解き放たれて」

「あっ……あうあ」


 呼吸が止まっているというのにそれでも、大気中の酸素を求める少女はもがき苦しんだ。

 一度死んで、なお身体は正直に生を追及する。

 この部屋は俺たち3人には広すぎる。


「お前は死んだ……そして……解放された。もう縛り付ける者は何もない。だが、もともとお前を縛っていた者は解き放たれたお前をどうするかまではしならいがな」


「お前じゃない、イリス……。イリス・イーサ。今ならわかる。私は自分の知らない間に生きることも死ぬこともできない、そんな呪いにかかっていたってことを。これからのことを自分で決められるなら、その道を示す希望にすがる自由だってあるでしょ!?」

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