第1087話「陰謀渦巻く王城」

「ではいきましょう」


「どこにいけばいいかはわかっているんだよな。目的地にまっすぐというわけにもいかないのが、歯がゆいがしかたがない。急ぐぞ」


「上の階に行くためには中央階段が早いのですが、必ず阻止されますんで、今回は非常階段を使います」


「これだけ大きい城なんだ。非常階段も一つという事はないんだろ? それどころか、隠し通路もあるんじゃないか」


「できれば使いたくありません」


 俺はなぜ使わないのか、その意味を聞かなかった。

 なぜなら、俺に知られたくないわけではなくほかに知られてはいけないものが紛れていることを危惧していることが容易に想像ができたからだ。

 そうでなければ、しょうめんからどうどうと王妃が戻ってきたと言えばよかったのだ。


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