第1074話「数千年前から紡がれた絆」

「さて、ここにわざわざ談話を楽しみに来たわけではないだろう? 目的は大方わかっていても敢えて君から聞きたいところではある」


「言わせてもらおう、俺たちはこの世界を救う為に天冥の軍勢を滅ぼすために戦っている……というのは建前で、元の世界に戻る方法を探している。そのために力を貸してほしい」


「俺の話を聞いて、それでも元の世界、元の時代に戻れると思っているのか? 俺は元の世界に戻れは恐らく死ぬ。それがわかっているからこの世界で生きていくことを決めた」


 言葉の意味がわかれば、決して冗談でもふざけているわけでもないことは伝わってくる。

 本来、彼は芯の通った人間だった。

 それでも言わなければならない、自分のためであり仲間のためにもここは譲れない。


「俺はあがくしかないんだ。可能性が無いと納得できるまではな」


「ここでモチベーションを下げて、現実を見ろとは言えないな。それなら、俺は個人的に元の世界に変える方法を探ろう。国王としては、天冥の軍勢と戦く君たちのバックアップをする。ただし、可能な限り国……特にここが襲われることがあれば可能な限り救援を頼む。これは俺が個人的に頼むのであって国王としては命令はしない」


「それでいい。俺はできるだけのことをする……それだけだ」


「それに、私は妹を君に預けるのだから無碍にはできないだろ?」


「ふっ、やっぱりあんたは国王だよ」


「それでは、アマト様と共に行きます」


「二人とも、死ぬんじゃない。あいつは死んだ……残されたものは後悔するってこともあるってこと忘れるな」


「ああ、次はお互いもっとましな話ができるといいな」


 俺はそれだけ言うと、メイドの見送られ外へと出た。

 


  

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