第994話「死と再生……そして」

 全身を包み込む優しい光と、その隙間を縫うように刺す闇の均衡が崩れて久しい。

 徐々に光が闇を晴らしていく。

 闇の核たる化身に、ラッシュをかける。


「ルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナルナ!! ……ボクの名前だけおぼえていればいい……」


 再生と消滅の先には何も残りはしない。

 本来の目的である、呪いの解呪法も分からずじまいになった。

 余韻に浸ることなく、ルナの魂は還っていく。


 次の瞬間、この世界は闇の因子と共に完全消滅する。

 そこには何も残りはしなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る