第914話「恨むことはない」

「勝手に人を巻き込んでいて、どいつもこいつも好きかって言ってくれる。それが国王だからって俺には関係のないことだ。結局はこの結末がすべてなんだからな。ユノンは生きてる……生きていたから、よかったものを、助からなかったときは俺を恨んでいただろ? 結果論なんてそんなものなんだよ」


 俺の言葉に怒りの表情を面の裏では作っていると思っていたが、一瞬で俺の元へ距離を詰めると耳元でそっとつぶやいた言葉に息をのんだ。

 やはり想像していた言葉と正反対であり、それでいて揺るがない『恨むことはない』という重い思い断言であったからだ。

 面の男の意図は読めない。





 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る