第915話「王の器」

 迷いのない言葉にも種類があるが、感情を込めた言霊は今の俺には十分すぎるほど伝わる。

 それが嘘ではないということを、決定的なものとする。

 そこには特別はない。


 俺の返事も待つこともなく元の位置にもどる。

 威厳なんてものは微塵もない。

 ただそこに、面をつけた男がいるだけである。


 それなのに、目を背けることなどできはしない。

 確かに王の器ではない。

 王としての資質などなくとも、人を導く力を有している。



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