第838話「必ずしもうまくいくわけではない」

 それでいていつ戻ってくるともわからない。

 帰ってくる保証などどこにもないというのに、それだけは信じていることができた。

 真夜中の街には暗躍する者がいるとしても、ぶつかってみないとその脅威は理解できない、


 ロビーで夜を明かす者たちはそのことを理解しているという。

 部屋が空いていなくとも正規料金を支払えば追い出されずに済むのはそういうことだ。

 何も料金が支払えないから、人目に付くロビーであろうと恥を覚悟で居座っているわけではない。


 とは言えすべての部屋が埋まっていないのは、自分たちが止まれたことで明らかとなっているのだが、それを責め立てるものなどいはしない。

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