第807話「悪魔で護り手」

 どうしてこうもこの世界は面白くて仕方がない。

 命というものを軽んじているわけではない。

 今、死ねば少女の存在意義が失われてしまう。


 少女は二度死んでしまう事になる。

 なんとしても生き残り、いまも眠り続けている一時を共にした仲間の忘れ形見を守らなければならない。

 扉が開かれ、宿の中へと入ってくる客と入れ違いに外へと出る。


 雨は止み、街灯が地面に映り込む。 

 人影には目もくれず、真っ直ぐと歩き出す。

 すべての敵意を惹きつけ散らす為に。

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