第756話「過去と未来」

 いかなる時も考える時間はある。

 今この時でさえ、思考を巡らせることは出来る。

 永遠はなくとも永遠に近づけることは可能である。


「もう話すことはないようだけれど、どうするの?」


「お前と心中するつもりはない。次は、こうはいかない……」


「でしょうね。二度目はお互いにないし、それはだれも望まない、あの人も……」


「何時かこちら側へ来い。待っている」


「そうできたら、よかったかもしれないね……」


 言葉を最後に元の生きた街並みへと戻っていた。

 まるで白昼夢でも見ていたかのように朧げな記憶だが、確かにいた。

 これで、逃げ道は無くなった。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る