第719話「彼女は彼女を許さない」

「スミレ……オラを殺せ」


「言われなくてもそのつもり!! 声も聴きたくなかった!!」


「ったく!! 待て待て!! バニティー、お前も理由も言わずに勝手なことを言ってるんじゃない。スミレ!? それでいいのかよ。最初から最後まで思い通りにさせられて納得できるってのか? 違うだろ!? ここで、殺したら目的が果たせるなんて思うなよ。結局最初から最後までひかれたレールに乗っかってきただけで、母親が何のために死ぬことになったかもわからないままになるんだ。それでいいんかよ! だからさ……」


 俺はスミレを押さえつけている為に、手を挙げることは出来ない。

 そんな彼女にユイナはびんたなどと生易しい選択をしなかった。

 頬に力いっぱい振りかぶった拳を叩き込んでいた。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る