第695話「記憶のかけら……掴む」

 記憶力なんてものは人である以上対して違いなんてものはない。

 皆、等しく記憶しそれを引き出すことができる。

 二人の人間と自分の記憶を合わせれば三つの記憶を所持している事になる少女。


 瘴気でいる事が不思議な程の情報量である……。

 それが脳科学に疎い者の考えである。

 なぜなら、人の記憶できる容量は万物の記憶に等しいとさえ言われるほどなのだから。


 そこに、一つ二つ増えたところで何かが変わるとも思えない。

 確かに並行して三人分の記憶が蓄積されるのであれば、混同することもあるかもしれない。

 だが、あくまでも過ぎ去った過去の記憶である。

 

 普段記憶の引き出しを開けないかぎり問題があってたまるはずがない。

 それは理解しているはずだ。

 だからこそ生まれつきの力として受け入れ、その記憶に殺されずに済んだのだろう。

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