第672話「最先端な考え方」
「見た感じだと品質によって値段が違うようだが、どれも綺麗だな。買い取りはしていないのか?」
「首都で店での買取は出来ませんよ。勿論、お客様同士での売買も処罰の対象になるので木を付けてください」
「なるほどな。それで、不良が出ても無駄にしないで済むわけか」
「昔は、だれでも自由に売買ができたみたいですよ。今の王に代わってから憲法が変わったって聞いていています。結果的には自由に売買ができたころに比べて治安が良くなりました」
「だろうな」
店主と話しているとルナは不思議そうにしている。
自由といえば聞こえは良いが、誰かの自由は誰かの自由を妨げる。
皆、同じ方向に進んでいればぶつかることはないが、好き勝手動いていればぶつかることもあるってことなのだが、如何せん自由を謳えば必ずといっていいほどこの問題に直面する。
「何がいけないのか、理解できないよ」
「例えば、ここで底の服を買う。いらなくなったらユイナに売ったとしようか。服自体は着ているうちに痛んでもくるだろう。痛んだ分を差し引いて少し値引いて売ることもある。さらにユイナはディアナへ、ルナへ、スペラへと回していく。結論を行ってしまえば誰も得をしないだ」
「最後に買った人は一番安く買えて得したんじゃないの? ここのお店が一番高い金額で買ってもらえたんだし、何も間違ってないと思うけど」
「店がつぶれるぞ!? 本来なら、人数分服が売れていなければいけないんだ。そうなると店側も慈善事業ではないのだから、値段を人数分まで上げたり痛みやすい服を売って回転率を上げたり、フリーサイズではなくオーダーメイドで縫ったり、複数の人間が着れないようにしたりするわけだ」
「そんなことしたら、売れなくと思うけどね」
「確かに消費者からすればデメリットしかない。俺の故郷では制作者の権利を守るためにと言って国だったり、生産者があらゆる互換性を無くしていったよ」
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