第632話「このセキュリティが意味するものは」

 最上階は特別綺麗な装いで専ら貴族専用の当別フロアになっているようだ。

 このような特別待遇を受ける心当たりはないのだが、どうやら俺達を監視している者達の根回しがあったのだと気づく。

 監視対象に好きに動かれるよりも掌の上で踊っていてもらった方が都合がいいのは理解できる。


 何よりも、最早隠すつもりなどないという事が重要であり最大のポイントである。

 だれの指示なのかだけでもはっきりとさせておきたいところではあるが、こちらから行くわけにもいくまい。

 せいぜい、受付のやり取りを全てなかったことにするフロア貸し切り状態の今を満喫するまでだ。


 エレベータを降りたら、扉は二つだけ。

 廊下の端には階段があるはずだが、扉によって閉ざされている。

 廊下には窓はなく別段の理由が無ければこのフロアに上がってくる必要性は皆無である。

 

 すなわち、部外者が間違って侵入することはない。

 エレベーターに関しては受付で一時的に階層ごとの登録を済ませたものでなければ使用することは出来ないし。

 無論、最上階ともなれば通過することを理由に万が一の新入はあり得ない。


 

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