第610話「間違えないんだから……にゃ」

(俺は元の世界に戻りたいのか?)


 問いかける。

 異世界から元の世界へと戻ることを目的とした物語は数千年前から語られてきた。

 そこが地獄のような絶望の世界であればそれも自然なことなのだろう。


 しかしながら、ここは地獄と呼ぶには些か不透明である。

 町には人が営み、森には自然が育んでいる。

 今この瞬間も滅びてはいない。


 即ち、この世界は継続的に存在し続けているのだ。

 今もこうして俺達が無事でいられる以上必ずしも絶望の世界とは言えないのではないか。

 それでも目的が変わることはない。


「ミャーにはわからないけど、アーニャがしたいようにするのが一番にゃ。だって……アーニャは間違えないんだから……にゃ」


 

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