第596話「炎と氷」
このまま無駄な戦闘は避けて早急に首都を目指したい。
ここに来るまでに遠回りをさせれてしまった。
だからこそ得られたものはあった。
それでいて、失ったものもあったのだろう。
兎にも角にもこのペースでは今日中に辿り着くのは難しい。
まだ太陽は天高くに見えるというのに距離感が分かるようになってきたのが、悲しいかな。
「歩きにくいにゃー。燃やしていいかにゃ?」
「俺達もまとめて丸焦げだな」
スペラに可哀想な者を見る目を向ける。
「嘘だにゃ……。怒らないでにゃ!!」
怒りなど微塵もないが、猫耳少女はびくびくと震えて見せる。
そこにディアナが何かを閃いたかのように軽く、頷く。
「それはいいかもしれません」
「いや、燃やすのはどうかと思うんだが……」
「通り道だけ凍らせてしまえば、脆い枝木を砕くだけで進めるようになります。燃やすよりもリスクは少ないとおもいますけどどうでしょう?」
「いけるか?」
「お任せください」
「まあ、そういうわけで、スペラのアイデアも周り廻って役に立ったわけだ。よっくやった」
「アーニャに褒められたニャ」
スペラはにかっと笑った。
それでいい。
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