第522話「運命の担い手」

 意表を突かれる形となったが、このままでは非常に良くない。

 スペラは海底にいたはずなのだが疲れ切ってはいるものの命に別状はなさそうである。

 しかし、このまま放っておけばブレイバーによって標的諸共屠られかねない。


「スペラーーーーー!! 何やってる早くこっちへ来いっ!!」


 俺は数百メートルも先にいるスペラへと叫ぶ。

 この声が届く先は何もスペラである必要はなく、寧ろブレイバーにだけ届いていればいいとさえ言える。

 あくまでもスペラに何かあればただではすまさないぞという意思表示である。


 実際は今は見逃してほしいという哀れな嘆きなのだが、それを馬鹿正直に言ったところで何も変わらない。

 最終的に判断を下すのは彼なのだから。


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