第486話「獣人の四つの風穴」
「あれれ、おかしいなぁ。みんながみんなってことはないと思ってたけど、さすがに誰もついてこないとは思わなかったなぁ……。おーい、こっちだよー」
やはり反応がない。
このまま引き延ばせば、アマト達の存在はばれるとしてスペラにも何かしらの影響が出てしまう事も考えられる。
もう少し挑発してみようかとしたその時、スペラが海へと走っていくのが見えた。
霧も次第に薄くなってきているのが、目に見えて実感できるところまで来ている。
即ちアマトが行動を起こすのならば今を逃すわけには行かないという事を意味していた。
それがわかっているからスペラは海へと向かっただろう。
「もう一度、お、おわっと!!」
一瞬霧が晴れると首筋に鋭い刃が空気を刈り取っていったが、首と胴体は別たれるようなこともなく髪の毛が数本散ったが余裕を奪う事すらなかった。
そこに立つのは獣人だが、霧の中では人間にもみえる輪郭をしている。
何よりも耳が四つあるのが見て取れるのだから、どうもただの獣人ではない。
コスチュームプレーをした人間でもなければ本来の形としては些か妙である。
勿論、例外が無いわけではないが例外なのだからほいほい出てくることが定石であってたまるものではない。
どちらにせよ、好戦的な者ならばやられてやるわけにもいかない。
「そっちがその気ならちょっとばかり痛い目を見てもうことになるからね。さあ、ゲームスタートだ」
ルナの瞳は煌く。
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