第485話「無能な者などいないという事」
目の前の衝撃を受けて行く手を塞がれる形となった獣人は何を思ったのか一斉に海の方へと走っていく。
犬頭だというのに、ルナを見つけ出すことができないというのだから大したことのない雑兵だと侮ってしまいそうになるがところどころで視線を泳がせているのが見て取れることからあながち全てにおいて無能というわけではないようだ。
しかして結果が伴わなければつまるところ敵ではないのだが、それはこの一点にのみ限ったことであり奴らのバッグの者が未だに尻尾をみせていないのだから組織としてみれば優秀な事この上ない。
「今、行かれるわけには行かないんだよ。おーい、そこのワンちゃん達こっちにおいで―」
姿が見えないように可能な限り気配を消して挑発して、さらに距離を取りつつ北上する。
まんまと追いかけてきてくれるのが都合がいいのだが、ぴたりと動きを止めるとその場に留まり追ってくることもなければ海へと進行することもやめてしまった。
少々不気味なのは取り乱す事なく騒ぐ者がいなかったことである。
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