第481話「海に沈む思い」

 初めて見る大海原は霧に覆われ、幻想的と言えば聞こえは良い戦闘が起きている事を考えれば物思いにふけることを許さない。

 それに二つのシルエットは次第に陸地から遠のいているように見える。

 このままでは介入する機会は愚か、正体も特定することが出来ないまま見失ってしまう。


 何も成果を上げることなく戻るくらいならば、この身を海の底へと沈めることすら厭わない。

 覚悟なんてする必要なんてありはしない。

 いつだってこの命は捧げられているのだから、迷わない。


 スペラは足に纏った稲妻で海上を滑る様に駆け抜ける。

 しかし、いつもとはまるで違う水面の動きにうまく適用することができず勢いを殺すこともなく転覆し海深くへと沈んでいく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る