第472話「海水弾落下」

 確かに上から何かが落ちていたのは間違いないのだが、落下地点はなおも確認できる距離にない。

 霧散したのならばその正体も確認できるのだろうか。

 どちらにせよ、このまま進むのは危険なことは明らかであるが迂回するにしても上空からの攻撃ならば意味をなさない。


「アマトさん、結界には衝撃、水、後は恐らく近くに落ちてる物があたっただけで人工物はこなかったのは確かよ。若しかしたら魔法で水を撃ち出してきてるのかもしれないわ。できれば落下地点で痕跡を調べてみたいけど、どうしましょう」


「スペラ、もっと早くディアナに伝えることは出来るか?」


「次はもっと早く伝えるにゃ。任せておけニャ!!」


 正確な方角こそわからないが、確実に海岸方向からの攻撃だとわかる。

 スペラが後発の攻撃に反応できたのは、初手で存在を知り、距離が近くなり、そして霧が徐々に霧散していることに起因する。

 このまま霧が晴れるのを待つよりもこの霧を活かして痛手を負わせることのほうが余程有意義というもの。


「ボクは一足先に海を拝みたいところだけど、悪目立ちするわけにもいかないようだね、ディアナとバニティーのフォローでもしてようかな」


「そういう事だ。さっきからどうも俺たちにあてる気が無いみたいなんだ。下手したら、襲われるよりも面倒なことになってる気がする……。まあ、やれることだけやればいいさ」


 俺のアビリティで一切反応が無かったのは危険と言える状態でないことを意味している。

 ついさきほどの事でさえ結界を張るまでもなかった。

 結論ありきで動くのは軽率ではあるものの、答えは出ていると言っても過言ではない。


 敵か味方か、兎にも角にも複数いる可能性がある。

 何がと言わなくとも、それ相応の力のあるものであるのはわかる。

 足元に流れる海水となぎ倒された木がそれを物語っている。

 

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