第471話「間一髪、正体未だ知れず」
距離があると言っても今まで歩んできた道のりを考えれば目と鼻の先というところまで来ていることは間違いない。
だからと言って霧が晴れていたところで、たとえ開けた場所だったとしても海岸線までは見通すことができていたとは思えない。
何者の気配もなく衝撃のみが伝わってきた以上恐らく何らかの攻撃によるものか、もしくは間欠泉でもあったのかと考えられなくもないがそれにしては突発的すぎる。
実際に海の中でさえ間欠泉があればそこが温泉として使用されることもあるのだが、それは短絡的すぎる。
スペラの表現から鑑みれば海そのものが直接的に関係していると考えるのが妥当だろう。
このままここにとどまっている選択肢はここで捨ててしまう。
突然発生した現象でなければ必ずその事象の発生要因に付随する緒が見つかるはずだ。
それにしても、この辺りは松が多いのが見て取れる。
倒れた松でさえもその隙間のない年輪は火山列島のそれを思わせる。
突然森のざわめきが辺りに響き渡る。
鳥、動物、虫、はたまた植物でさえここから逃げ出そうとするようなあらゆるものが騒ぎ出したかのような音が響く。
霧とは違った水しぶきのような粒が肌に触れたと同時だった。
「上から何か来るにゃー」
「ディアナ!! 頼む!!」
ドォォォドオドドドゴ
何かが爆発したかのような爆音響いた。
咄嗟にディアナが俺たちを囲むように結界を張るが、結界には水しぶきと衝撃を受けるのみで何かが直撃することはなかった。
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