第463話「光を生むマナ」

 生産性のある話ばかりが必ずしも意味を成すとは限らない。

 夜空の星々の光さえも遮り鬱蒼と生い茂る森の中でさえ、ざわざわと吹き抜ける風音が話に混ぜてくれと言わんばかりに俺を求める。

 そこに意味など見出そうとはしないだろう。


「そろそろ、日も暮れてきたな。ユイナ、明かりを頼む」


「任せておいてね。火を起こさなくても光魔法で辺りを照らせるのって意外と便利かな。この辺りはマナも十分にあるから、魔力を使わなくとも朝まで照らしておくこともできるよ」


 ユイナは周囲のマナに干渉するとまるで蛍が舞うかのように辺り一面疎らに光り出す。

 蝋燭の灯りと同等の明るさで数十を数える程度の光源があるだけで建物内は十分に照らし出される。

 漂う光り輝くマナ触れても空を切るだけで熱を感じない。

 

 火を使わなければ火災の心配がなく、熱は愚か感触が無いのだから余程実用的ではなかろうか。

 問題は特定の人間にしか扱えないという事と、マナがなければいけないという事なのだがこれがハードルとしては高すぎるのだ。

 魔力を捻出したのでは消費量と疲労感諸々と割に合わない。

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