第354話「今日は進めない」

 一日が過ぎ去っていく。

 目的地まで最短距離を突き進んでいるというのに、一向に近づいているように感じられないというのに日は恐らく沈んだのだろう。辺りは赤く燃えるように真っ赤になったかと思えばだんだんと薄暗くなっていく。


 バニティーもそのまま歩み続けることもなく開けた場所で振り返る。

 何が言いたいのか理解はできるが、地面は草木が生い茂っている為俺一人の力ではどうすることもできない。

 

「ユイナ頼めるか」


「最初からそのつもり。もっと頼ってくれてもいいんだよ」


「……」


 俺はユイナから力を借りると一気にイメージを具現化していく。

 二度目となった簡易拠点は条件の悪さを鑑みても着実に進化を遂げていた。

 草木を巻き込むことなく作り上げられたにもかかわらず、森に溶け込むように草木が外壁を覆う事で耐久力と機能性を引き上げる創りとなった。


 それを一瞬で作り上げたというのだから、自分でも驚きを隠せない。

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