第353話「もう戻れない」
一切の迷いなく進むバニティーに俺達がついて行けるのは、所々振り返ることなく速度を落とし歩みを合わせる心遣いによるものだろうか。
否、そうではない。
それが、優しさに感じられないのは淡泊な態度だからではない。
何も感じられないからである。
護衛や利害関係など態のいい文句でしかないことは改めて理解することになった
この森の事を完全に知り尽くしていて尚且つ、雑魚モンスターは俺達が捕捉し思考するより早くのしてしまう。
その流れは堰き止められることを知らない。
まるで最初から何もなかったかのように突き進んでいくのだ。
「みんな、まだまだ目的地まではある。疲れたらすぐに言ってくれ」
「アマトが一番無茶するんだから、アマトが休むタイミングで休憩にすればちょうどいいんじゃないかな」
「ユーニャの言う通りにゃ。アーニャに合わせれば絶対大丈夫にゃ」
「一番体力がないのがアマト君だから、アマト君に合わせれば誰もいう事はないと思うけど」
「この中で唯一の人間はアマトさんだけですからね。私もその方がいいかと思います。と言ってもあんまり無理をすると人間でいられなくなりますよ」
ディアナは意味深な事を言ったがこの時はもののたとえだと切り捨てた。
無論聞き入れたからと言って、取り返しのつかないことには変わりなどなかったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます