第264話「誰か代わってよ」

 怨魂は動作こそ生き物のようにも見える動きはするものの、そこには意志など見受けられない。

 本能で動いているわけでもなく、機械的な動きでもない。

 それは自然現象そのもの。


 風が吹けば風に流され、流されるままかと思えば突然動きを変えてくる。

 不意を突かれればただでは済まない以上迂闊に近寄ることもままならない。

 それにも関わらず、ルナはユイナを促す。


「ぎりぎりまで近づいて、一度に魔力と大気中のマナを同時に注ぎ込んで打ち出すことが最低条件だけどできる?」


「それなら、問題ないわ」


「どちらも均等に成る様にしないと、余波を受けるけど大丈夫?」


「……」


 余波とはつまり、死の霧を受けることを意味している。

 失敗は即ち自らの死を意味しているのだ。

 

(誰か代わってよ)

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