第263話「みこみこアンバランス」

 スペラの行動は常に危険と隣り合わせ。

 いみじくもアンバランスな崖っぷちを歩み続けてきた。

 今しがた、ルナの一言で一命を取り留めた事さえ全てが手繰り寄せた一本の紐と言って等しい。


 人は誰しも何らかの要因により今を生きている。

 即ちスペラがここで命を落とすことがなかったのも必然。

 そして、目の前のこれが今ここで三人の目に触れることになったのもまた必然。


「祓う方法を教えてルナ」


「魂その物ではなくても、独り歩きしているなら同じものと考えてもいいんだよ。アマト君の言葉を借りればってとこかな。ただの毒霧なら祓うじゃなくて、払いのければいいけどそれだとまた自然に元の姿に戻ろうとするから意識してね。そこには意志なんてものはないから面倒だけど」


「お祓いかぁ。巫女さんにちょっと憧れたことあるけど、お祓いは神主さんがしてたような……。うまくできる気がまるでしない」


 ユイナは思考を巡らせて、過去を振り返るがやはり祓うイメージはわかなかった。

 スペラに至っては聞きなれないフレーズに困惑して不思議な表情をうかべるだけだった。


  

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る