第203話「無法地帯へと」

 辺りの空気が徐々に変わっていく。

 人もいなくなりモンスター除けの鈴も機機能することのなくなって、境界線の無くなった村など村ではない。

 そもそも建物の一件も残っていないのだから、最早村どころか人の住める土地ではない。


 ならば、人でない者がこの地に足を踏み入れることなど容易でありモンスターに支配される事など想像に難くない。

 予想しなかったわけでも、対策をしていなかったわけでもない。


 ただ、あまりにも侵攻が早い。

 元々別の種族の生物が住んでいたのだから、臭覚の鋭い動物ならば水が洗い流したとはいえほいほい穴を埋めるような行動はとらない。


 野生動物ならばなおさら警戒心があって余りあるというものだ。

 自分で奪い取った土地ならばともかく、正体不明な者達の争いに飛び込むほどの命知らずな行動は避ける傾向にある。


 必ずしもそうだとは限らないのだが。

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